突然ですがポケモン映画の興行収入について色々と調べてみました。
 要はポケモン映画についての自由研究です。
 ではまず各年のタイトル、公開日、興行収入を挙げてみましょう。


No.タイトル公開日興行収入備考
01ミュウツーの逆襲1998年7月18日80億円その内容の濃さから「最初にして最高の傑作」と名高い。
02幻のポケモン ルギア爆誕1999年7月17日53億円アニメオリジナル地方、オレンジ諸島が舞台。
03結晶塔の帝王 エンテイ -ENTEI-2000年7月8日38億円劇場版では初のジョウト地方。
04セレビィ 時を超えた遭遇2001年7月7日34億円ビシャスの残虐さに批判が相次ぐ。
05水の都の守護神 ラティアスとラティオス2002年7月13日26億円いわゆる『(無印)』の劇場版最終作。
06七夜の願い星 ジラーチ2003年7月19日46億円今や恒例となった「限定ポケモン引換券付前売券」戦略の開始。
07裂空の訪問者 デオキシス2004年7月17日43億円前作のグラードンに続く超古代ポケモン、レックウザ登場。
08ミュウと波動の勇者 ルカリオ2005年7月16日43億円主役ポケモンが伝説系ではない初めての作品。
09ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ2006年7月15日34億円『AG』ラストということもあってか、コンセプトは『ジラーチ』に近い。
10ディアルガvsパルキアvsダークライ2007年7月14日50億円10周年記念超大作。史上初の「ポケモン劇場配布」を実施する。
11ギラティナと氷空の花束 シェイミ2008年7月19日
公開予定
--前作からのテーマを引き継ぐ初めての作品。
伝説、幻系が 5匹も登場することからファンからの期待は高い。


データ出典:ウィキペディア


 以下は各作品のオープニング曲とエンディング曲。

オープニングエンディング
No.タイトルアーティストタイトルアーティストタイトル
01ミュウツーの逆襲松本梨香めざせポケモンマスター '98小林幸子風といっしょに
02幻のポケモン ルギア爆誕松本梨香ライバル!安室奈美恵toi et moi
03結晶塔の帝王 エンテイ -ENTEI-松本梨香OK! 2000森久美子虹がうまれた日
04セレビィ 時を超えた遭遇松本梨香めざせポケモンマスター 2001藤井フミヤ明日天気にしておくれ
05水の都の守護神 ラティアスとラティオス松本梨香めざせポケモンマスター 2002cobaひとりぼっちじゃない
06七夜の願い星 ジラーチなし林明日香小さきもの
07裂空の訪問者 デオキシスなしTommy february6L・O・V・E・L・Y 〜夢見るLOVELY BOY〜
08ミュウと波動の勇者 ルカリオ屋亜希那バトルフロンティアPUFFYはじまりのうた
09ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィなしSowelu守るべきもの
10ディアルガvsパルキアvsダークライあきよしふみえTogethr 2007Sarah BrightmanBe With You
11ギラティナと氷空の花束 シェイミ(不明)クリスタル・ケイONE


 これを見ると、どうやらテーマソングと売り上げにはあまり繋がりはないように思えます。

 となるとやはり映画の内容ですかね。
 これは私の独断的な見解ですが、ポケモン映画の内容は大きく 3つの種類に分けることが出来ます。
 まず、ポケモン同士が何らかの理由により闘うもの。『ミュウツー』『ルギア』『デオキシス』『ダークライ』はこの部類でしょう。仮に「対戦型」と呼びます。
 次に、ポケモンとサトシたちが友だち もしくはそれに類するかたちで物語が進んでいくもの。『セレビィ』『ラティアス』『ジラーチ』『ルカリオ』『マナフィ』。仮に「仲間型」と呼びます。
 残る『エンテイ』ですが、これはどちらの要素も含まれていますが、どちらにも属しません。仮に「唯一神型」と呼びます。
 おそらく『シェイミ』は『ダークライ』の続編ということもあり「対戦型」だと思われます。

 では、各型の特徴を踏まえつつ、各作品の話の流れをまとめてみましょう。

※注意!!  これより先、映画内容についてのネタバレを含みます。イヤな方はこちら

ミュウツーの逆襲対戦型
ミュウツーに招待され孤島へ赴く。

オリジナルとコピーの対戦を申し込まれる。

ミュウとミュウツーの開戦を火種に全オリジナル vs 全コピーの闘いが始まる。

最終的にはサトシが闘いを制止する。
幻のポケモン ルギア爆誕対戦型
ポケモンコレクター・ジラルダンにより深層海流の調和が乱され世界各地で異常が起こる。

ファイヤー、フリーザー、サンダーが怒る。

一触即発の状態で 3匹の闘い開始。

ルギアが制止を試みるが失敗。

フルーラの笛の音で 3匹の争いが収まる。
結晶塔の帝王 エンテイ -ENTEI-唯一神型
アンノーンの遺跡を調査中、行方不明になるシュリー博士。

アンノーンのパズルで父の帰還を望む、娘・ミィ。

ミィに願われた存在として、彼女の父として現れるエンテイ。

しかしサトシたちに自分の存在を否定され「そんなはずはない」と牙を向けるエンテイ。

最後はミィの言葉により自分が幻であることを認める。

アンノーンの暴走を止め消滅する。

シュリー博士、帰還。
セレビィ 時を超えた遭遇仲間型
ユキナリ、セレビィと遭遇す。

40年後にタイムスリップ、サトシたちと遭遇す。

ユキナリ、サトシ一行とセレビィの傷を癒す。

ロケット団最高幹部、仮面のビシャス登場。セレビィを捕獲。

暴走するセレビィをなんとか正気に戻したサトシたち。

瀕死のセレビィ。

そこへ現れたたくさんのセレビィ。

セレビィ復活。
水の都の守護神 ラティアスとラティオス仲間型
サトシの前に現れる謎の少女。

正体はポケモン、ラティアスだった。

彼女の兄、ラティオスを捕縛する怪盗姉妹・ザンナーとリオン。

ふたりの行いにより水没の危機に曝されるアルトマーレ。

ラティ兄妹により大津波は勢いを落とす。

が、先のリオンから受けたダメージが影響しラティオスは消滅。

新たな「こころのしずく」へと変わったラティオスは水の都・アルトマーレの守護神となる。
七夜の願い星 ジラーチ仲間型
マサトはジラーチの声を聴き、ジラーチのパートナーとなる。

しかし自らの野望のためバトラーに利用されるジラーチ。

ジラーチと、千年彗星のエネルギーにより創り出されたメタ・グラードンが暴走を始める。

メタ・グラードンを滅するため奮闘するサトシたち。

メタ・グラードンの消滅に成功し、目覚めから七夜経ったジラーチは再び千年の眠りに就く。
裂空の訪問者 デオキシス対戦型
ハイテクシティ・ラルースでサトシ一行はポケモン恐怖症の少年・トオイと出会う。

そこへ宇宙より飛来したポケモン・デオキシスが現れる。

かつて領空を侵されたと思い込みデオキシスに闘いを仕掛けたレックウザがラルースシティに襲来。

始まる二匹の闘い。

一方ラルースの研究施設でもう一体のデオキシスが人工的に復活する。

2対1の戦闘となるがシステムエラーにより暴走を起こしたロボットにより中断。

ロボットにより生き埋めになりそうになったレックウザを二体のデオキシスが助ける。

サトシとトオイの活躍によりロボットの暴走はストップ。

それぞれの場所へ帰って行くレックウザとデオキシス。
ミュウと波動の勇者 ルカリオ仲間型
数百年前。ルカリオと、勇者アーロンの間に生まれた確執。

現代、なりゆきでピカチュウがミュウに連れて行かれる。

一方サトシの前には古の勇者の従者であるルカリオが現れる。

お姫様の頼みでピカチュウ探しを引き受けるルカリオ。

サトシたちとの行動、初めは反発しあうも次第に打ち解けてゆく。

そして明かされたアーロン伝説の真実。

解けた誤解と湧き上がる後悔。ルカリオが選んだのは、あるじと同じ結末。

確認するサトシとピカチュウの友情。そして、取り戻したアーロンとルカリオの友情。

それぞれ、友と共に旅を続ける。
ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ仲間型
蒼海の王子こと マナフィのタマゴを狙う、海賊 ファントム・トループ。

水の民の助けを借り、マナフィを海の神殿に届けるミッションを担うポケモンレンジャー ジャック・ウォーカー。

刷り込み効果によってマナフィの母親代わりとなってしまった ハルカ(とサトシ一行)、神殿への旅路を共にする。

諦めないファントム。 cv.藤岡弘、

しつこいファントム。 cv.仮面ライダー

ハルカ一行、海の神殿へ到着。

追尾により神殿へ侵入したファントム。 cv.隊長  により神殿崩壊の危機!

ジャックと格闘の後 沈み往く神殿を目の当たりにし脱出するファントム。 cv.小野寺俊夫

崩壊の危機を救ったサトシ。(主人公、唯一の見せ場)

ホッとしたところで どっこいまだ諦めてなくてマナフィを掻っ攫う海賊 ファントム・トループ cv.せがた三四郎

そこに現れた金色の光を纏いしサトシ、マナフィを取り戻す。

だがそれでも諦めない、というか諦めの悪いファントム。 cv.そろそろ弾切れ

カイオーガの破壊光線を受けて漸く観念したファントム。 cv.坂本龍馬('74年/NHK)

ハルカ、マナフィと涙の別れ。 「かも、すき!」

蒼海の王子、誕生。
ディアルガvsパルキアvsダークライ対戦型
何故か闘っている時間の神と空間の神。

負傷したパルキアはアラモスタウンに身を隠す。

しかしディアルガに発見されアラモスタウンにて再開される戦闘。

止めようとするダークライ

返り討ちに遭う。

戦闘を鎮めさせる曲・オラシオンにより闘いをやめた 2匹。

「パルキアのバカヤロー!」とサトシに叫ばれ、崩壊した街を全て修復したパルキア。

でも客観的に、悪いのはディアルガ。

復活するダークライ。


 さて、どうでしょう。この表を作り始めてから書き掛けた状態で既に何ヵ月か経っているので、残っていた『マナフィ』なんか殆どやるきの無い紹介文となっておりますが気にしないで下さい。
 というのは無理かも知れませんが、まああまり気にしないで下さい。
 ところで、この「型」と売り上げグラフを比較してみましょう。
 …… …… ……。
 あまり関係ないようです。

 なので切り口を変えてみましょう。
 今度は、映画の「中」ではなく、「外」に。
 グラフを見ると分かるように、第一作の『ミューツー』を最後に売り上げは下落の一向。『ラティアス』ではついに 30億円を切る結果となり、ここで新しい政策を採りる。
 それが、今では当たり前となった特別前売券方式
 2003年。『ジラーチ』公開に伴って、前売券についた「ジラーチ引換券」により当該店舗に於いて GBアドバンス版『ポケモン』カートリッジにジラーチをプレゼントするキャンペーンが行われた。これにより全体の売り上げは前年比 約56%増。
 そして翌年は「デオキシスに会うために必要なオーロラチケット」、そして「ミュウ」、公開に先立って発売された DSゲーム『ポケモンレンジャー』で「マナフィのタマゴが手に入るスペシャルミッション」をそれぞれ特典に付け、昨年、2007年には前回入手が極めて困難だった「デオキシス」が配布される運びとなり、前売商戦開始からの最高売上数を記録した。ただ「マナフィ」に関しては、対象のソフトが本家『ポケモン』シリーズではなかった為かやや落ち込んでいる。
 さて、ここで問題になってくるのは、[前売券販売枚数]と[観客動員数]が果たしてどれ程の差であるかと云うこと。
 前売券を買っても必ずしも映画を観るとは限らない。中には特別ポケモン欲しさだけに前売券を買い 観に行かないか、またはひとりで複数枚買い、引換後一度は自分で観ることはあってもリピーターとしてはなく、そのまま放置するか、或いは第三者に譲るかもしれない。
 譲るのならばまだよいが、前二者のような前売券購入者が多ければ、[観客動員数]は減り、[前売券売上枚数]との間に差を生む結果を導く。
 しかしこれを打開するためか、2007年より新たな戦略を始動。それが「劇場配布」である。
 これは、劇場の中に入って、恐らくは上映室にあるであろう発信ポートから配布される 限定ポケモンのデータを座席で受け取るというもの。
 それによって、前売券を購入したが観る予定は無かった者も 前売券を購入していない者にも、とりあえずは劇場のスクリーンを観させることに成功したであろう。 興行収入も前年比 68%増となっている。

そして今年。
前売券で「レジギガス」、劇場で「シェイミ」を配布し、更にその 2匹は、今秋発売予定の『ポケットモンスター プラチナ』に連れて行くと特殊なイベントが発生したり、ポケモンの形態が変化するというシステムが盛り込まれている。
映画ありきのゲームソフトという、初のシチュエーションが展開される。映画も売れてソフトも売れる。まさに一石二鳥作戦である。

ピカチュウ・ザ・ムービー第11弾『ギラティナと氷空の花束 シェイミ』
いよいよ来週、 7月19日より公開される。